2018 第3節 町田ゼルビア vs ヴァンフォーレ甲府 プレビュー2 ~守備分析~
J2第3節。町田ゼルビア×ヴァンフォーレ甲府のプレビューの続きです。今回はヴァンフォーレの守備の基本パターンについて、「守備」「守備から攻撃への切り替え」の観点から分析したいと思います。
つまりゼルビア側からみれば、
- どう相手を掻い潜りゴールを狙うか?
- ボールを奪われた時どう動くか?
などの対策を考えます。
ヴァンフォーレは相手に合わせてシステムを変更するチームの様です。以下はJ2直近2試合のスタメンデータです。
第1節 vs大宮アルディージャ
ヴァンフォーレ甲府 2018マッチレポート | 2月25日 vs 大宮 | Football LAB ~サッカーをデータで楽しむ~
第2節 vs東京ヴェルディ
ヴァンフォーレ甲府 2018マッチレポート | 3月3日 vs 東京V | Football LAB ~サッカーをデータで楽しむ~
ヴァンフォーレのベースとしているシステムは3-4-2-1です。ヴェルディ戦も途中から戻してますし、またルヴァン杯のコンサドーレ戦もメンバー違えど3-4-2-1だった様です。ゼルビアにとっては苦手なシステムですので、弱点が見つかると良いのですが。
第3節はこんな記事も書いています。良かったらご覧ください。
1.トピック 2.守備分析 3.攻撃分析 4.セットプレー分析 マッチレビュー
守備
前線のプレッシング
プレッシングのスタート位置
基本的にはハーフウェイライン5m手前辺りからプレッシングスタートします。ただ、相手が後ろを向くなど奪取できそうと判断したら位置に関わらずギアを変えてプレッシングを仕掛けます。
そこまで攻撃的なプレッシングはしてこない印象です。MFはハーフウェイライン前後にゾーンを作ります。
追い込みパターン
どこかのゾーンに追い込むパターンではなさそうです。相手のパスミスを誘うためにプレッシングを開始している様に見えます。
プレッシングスイッチ
プレッシングのスイッチはCFもしくはMF1人での仕掛けです。中盤との距離感はあまり意識せず散発的なプレッシングが多いです。スイッチが入ると中盤が相手の位置を確かめながら前方に押し上げます。
プレッシングの狙い
直接ボールを奪うと言うよりは、相手に縦のパスを出させてハーフウェイラインで待ち構えたMF陣がインターセプトして、そしてそこからショートカウンターを狙う目的が有ります。
ゼルビアはプレッシングをどう外すか?
基本的にはどの相手でも同じで、パス成功率など御構いなしに前線にボールを運ぶのがゼルビアです。ヴァンフォーレに対しても同様でしょう。できれば後方のパス回しで逆転サイドにボールを移してSBが対角線のロングパスを出すとファイナルサードに運びやすいので考慮してほしいです。
しかし気を抜いた縦パスはヴァンフォーレが狙っており、危険なカウンターが待っているので注意しなければなりません。
自陣でのブロック守備
基本陣形
引いて守る時は5-4-1を敷きます。相手が自陣に侵入したらWBは最終ラインに入ります。トップ下の選手はCHの両脇にスライドします。
またトップ下のリンスは守備の時も急いで戻らず高い位置にいる場合があり4-4-2の様な陣形となります。それはチームとして許容している様に見えます。
最終ラインの高さ
プレスを仕掛けられない場合は、ゆっくり後退してWBが最終ラインに入るタイミングでブロックを形成します。ペナルティエリアの手前に最終ラインを設定します。
縦横方向のコンパクトネス
5-4もしくは5-3や5-2-2のブロックを形成したらヴァンフォーレはゾーンディフェンスで守ります。従って相手ボールの位置でDFとMF間の距離に変化が見られます。
横方向に関しては、DFラインは5バックなので必要以上の圧縮はしません。逆サイドの大外の選手もマーク可能です。MFはCH2人とサイドに下りたOH1人の計3人はコンパクトなゾーンやラインを作り、もう1人のOHが少し距離を置いてスペースをカバーします。
守備の基準点
上述の通りヴァンフォーレが引いて守る際もゾーンディフェンスで守ります。マンマークを行うのはペナルティエリアに侵入した相手を追う場合がほとんどです。その際は周囲の選手とポジションを入れ替えて、再びゾーンディフェンスに移行します。
DFラインの特徴
引いて守備ブロックを作るのが早いため、裏を狙ったパスが通る機会はあまり有りません。相手が大外からペナルティエリア付近でクロスを上げると判断したら緩やかにDFラインが下がり跳ね返す準備をします。
DF-MF間に相手FWが下りた場合は、DFがまずマークに付いてから可能ならばゾーンへと移行します。また相手のMFがDFラインに侵入してきた場合は、ヴァンフォーレ側もMFの選手が戻り対応します。
ヴァンフォーレのエリア内のゾーンディフェンスは既に組織として完成されている印象です。このDFラインを崩すのは容易ではありません。
ゼルビアが突くべき守備の弱点
ヴァンフォーレの5-4のブロックを崩すのは難しく、だからと言って無理に攻めるとカウンターを喰らい自滅します。ヴァンフォーレが引いてもゾーンディフェンスで守ると言う特徴を巧みに突く必要があります。それはDF-MF間のスペースを活用することです。
既にアルディージャがお手本を見せてくれています。アルディージャ戦の分析プレビューを見た方には同じシーンとなりますが、視点を逆にしてご覧ください。
シモヴィッチがDF-MF間に下りてボールをキープしてゾーンで守る相手を引きつけて同サイドでパスを回し、フリーのCHにパスが渡ったところで攻撃のスイッチを入れるところから動画は始まります。そして再びシモヴィッチが下りてCBを引き連れてから駆け上がるCHにボールを渡し、左サイドのマテウスをCBとSBの間のスペースに走らせてアシストにつながるパスを出します。
クロスを上げるチャンスができたら、DFラインの位置を判断してGK-DF間または DF-MF間に早いボールを出すとシュートまで運べる可能性が高まります。
守から攻の切り替え(ポジティブトランジション)
敵陣でボール奪取時
ゴールの目指し方
ヴァンフォーレが敵陣でボールを奪取したら、相手を引きつけながら素早く前線にパスを供給します。受け手がCFの場合は位置により裏に走るか、溜めを作りサイドを絡ませて攻め上がります。
受け手がトップ下の場合、つまりリンスあるいは堀米が受けたらカットインからシュートを狙います。リンスを左側、堀米を右側に配置しているのはカットインで内側にドリブルした時に利き足でシュートを狙うためです。
ゼルビアの対策
まず素早く前線にパスを狙ってくるので後退せざるを得ない状況となるでしょう。そしてパスの受け手によって対応が変わることを把握しておく必要があります。トップ下の選手のカットインは最も危険なプレーです。ファウル覚悟で止めに行って良いと思います。
自陣でボール奪取時
奪取後のパターン
基本的には早めにロングパスを出します。自陣の低い位置での奪取なら全体的に押し上げつつセカンドボールを拾って前進します。MFへ預けたり、GKを使いサイドを変えながらロングパスを出すパターンもあります。
自陣の高い位置で奪取できたらカウンターが発動します。
また、パスの出しどころが無い場合はポゼッションに切り替えることが出来る汎用性も持ち合わせています。
パスを受け取るプレーヤー
ヴァンフォーレ甲府公式サイト|VENTFORET KOFU OFFICIAL WEBSITE
CFとトップ下の計3人が基本的なターゲットとなります。CFは浮き玉に対してポストプレーでキープすることが期待され、トップ下へはグラウンダーのパスや裏のスペースへのロングボールを出してドリブルで前進することが期待されています。
リンスは守備ブロックに加わらず前線で待機していることもあり、カウンターの起点となります。
ゼルビアの対策
ヴァンフォーレのポジティブトランジションは前方に素早くパスを出す傾向が強いため、ゼルビア守備陣は第1波を跳ね返すのはもちろん、セカンドボールをしっかりと回収し第2波の攻撃を防ぐことを意識する必要があります。
回収してもヴァンフォーレがプレッシングを仕掛けるため、相手をいなすプレーが求められるでしょう。それが出来たら相手を押し込むことが可能となります。
まとめ
- 中盤でボールを失うと即カウンター
- SBからの対角線のロングパスはプレッシングを掻い潜るのに有効
- DF-MF間にボールを入れてゾーンを乱せ
- 自陣でボールを奪われたらトップ下のカットインは絶対に阻止すべし
- セカンドボール回収とその後に押し込めるかが試合のカギ
以上がヴァンフォーレの守備パターン分析です。非常に守備がしっかりとしていてカウンターが得意なチームのため、ゼルビアが優位になるためにはセカンドボール回収やボールキープの仕方でハイレベルなプレーをする必要があります。常に緊張した試合展開となりそうですね。
お?ゼルビア意外と攻めることが出来るじゃん!とか思ったら命取り。ヴァンフォーレがどのようなチームかしっかりと把握して、ゼルビアの攻撃やセカンドボールの行方を追ってみましょう。次回はヴァンフォーレの攻撃を分析します。ではまた。