鹿児島ユナイテッドFC 0-1 町田ゼルビア 戦士たちに敬意を (2019 第5節)
もう愛媛戦が始まってしまうけど、今回の対戦相手は鹿児島ユナイテッドFC。公式戦初対戦。
モンテディオやツエーゲンとのガチンコ対決に大差で敗れたものの、自分たちの出来ることを貫く!とショックを振り払いゼルビアは敵地へ乗り込みました。
一方、鹿児島も開幕こそ徳島ヴォルティスに勝利するものの以降は勝利から遠のいており、互いに自信を取り戻すため全力を尽くす好ゲームが予想されます。
まずはスタメン情報。
ゼルビア [4-4-2]
前節からの変更は3名。深津(体調不良らしい)→藤井、裕大(出場停止)→奥山、山内→戸高。ゼルビアではSBを主戦場とするおっくんを金沢戦の途中と同様にCHで起用したのは相馬監督のチャレンジと言えるでしょう。
鹿児島 [4-1-4-1]
事前の情報としては琉球より金鍾成監督が就任し、アンカー配置のボール保持型でワイドな展開を行うチームことくらいしか分かっていなかった。GKはアン・ジュンスがU-23代表に招集されたため大西勝吾が選出がされた。また韓勇太に代わり薗田卓馬を起用してきました。1トップで2017年のような活躍が再現できるかは気になるところです。
ZASレポート
鹿児島戦における局面の推移統計です。
守備局面の割合が高くなっています。ZASではレナード・バルディのフレームワークの考えに基づきスローインもセットプレー攻守と位置づけてタグを付けているため、その影響です。
具体的には鹿児島のスローインやゴールキックからの攻撃設計は近くから各駅のパスを繋げることを基本としていました。その後は通常時と同様の攻撃パターンを展開します。この場合、タグ付けをSP(敵)から守備に移行させてます。その回数が多かったのです。
相手のインプレーとなる局面の数を出してみましたが鹿児島のセットプレー局面が52個あり、ゼルビアを守備局面に移行させています。しかしゼルビアの守備はネガティブなものは少なく、むしろ攻めるための守備も多かったと思います。面白いグラフでした。
ZASメンバーによる選手用プレイリストを作るためのタグの割合です。
タグ付けメンバーは1名にも関わらず各選手のタグを満遍なく付けてくださりました。まずは本当にありがとうございますと伝えさせてください。サイドの選手のタグ付けの割合が多めで、数多くのタスクをこなしていた事が伺えます。
タグ付けは慣れれば簡単です。しかし1名で付けるのは大変なのであと4名ほどの助けを必要としています。一緒に新たな共闘スタイルを築いていきませんか。お声がけお待ちしております。
アナリスト河野大地氏のボール奪取分析
皆さんTwitterではマリオさん GIUBILOMARIO(河野大地) (@giubilomario) | Twitter として超有名で、footballistaやサッカー批評にも寄稿したデザイナー/アナリストの河野大地さんのツイートやマッチレビューをご覧になったでしょうか。
【J2第5節 鹿児島ユナイテッドx町田ゼルビア】90分間のエリア別ボール奪取数+両チームのボール奪取ポイント(選手名&経過時間)+1対1でのボール奪取に関する個人勝敗表 - 町田は人数をかけ両サイドでボール奪取。決勝点となったPKもロメロフランク選手の出足の速さ&球際の強さからうまれた物でした。 pic.twitter.com/Q4BGqmvziO
— GIUBILOMARIO(河野大地) (@giubilomario) 2019年3月25日
分析記事はこちら
ゼルビアの1対1の奪取が鹿児島の倍であることやどの選手をターゲットにしていたのか、組織的にサイドでボールを奪取していたこと、そして課題などが簡潔にまとめられているし、グラフ自体もデザインセンスが素晴らしいのでぜひ何度も見てほしいです。
記事から選手の頑張りが蘇ってきますね。マリオさん素晴らしいグラフと記事でした。本当にありがとうございますと伝えさせてください。
以降は鹿児島の攻撃とゼルビアがどう対応したのか少し述べようと思います。
鹿児島のビルドアップの封殺方針
鹿児島は自陣からビルドアップするチーム。基本的にはGK、2CB、アンカーで菱形を作り [2-3-2-3]の布陣に移行しながら相手のマークを剥がして進むスタイルでした。
ゼルビアは鹿児島のビルドアップを封じるために4-4-2ゾーンディフェンスのセオリー通りの第1プレッシングを仕掛けます。
FW陣がアンカーへのパスコースを遮断しつつ開いた相手CBに圧をかけてSBにパスを出させます。そこからスライドしたSHとCHとSBで奪取しに行きます。そして全体的に横圧縮。裏はCBがカバーします。逆サイドに出す時間とスペースは与えません。
その繰り返しでアウトオブプレーになる展開が多くなります。スローイン設計が緻密なのはゼルビアの方でした。スロー後に即座にプレッシングを仕掛ける、そのための配置、それこそ鹿児島を封じたゼルビアのゲームらしい要因でしょう。
ポジショナルな攻撃に対応するゼルビア
鹿児島も黙ってはいません。ゼルビアが攻撃で布陣を崩した後などはチャンスを作っていましたし、IHが落ちてきてビルドアップの改善も図っていました。相手優位の状況でミドルサードまで運ばれた際は緊張感がありました。
鹿児島が前進した際は基本的に前線が5枚となります。IHが落ちた時は逆サイドのSBが高い位置にいました。いずれにせよ4バックのゼルビアとの数的ギャップを作り出し崩す狙いが見えます。
縦横圧縮のゼルビアが警戒すべきは以下の攻撃です。
①裏狙い
②バイタルエリアへのパス
両者ともDFラインが後退することにより相手にクリティカルな攻めをさせない様に対応をしていました。①は酒井がいるし、藤井の的確なカバーも光っていました。
②はこちらのプレスにエラーがあり圧縮を維持できない時に狙われました。嫌なエリアでボールを持たれますが、4バックがアタックを我慢し相手が時間とスペースを上手く活用できない内に中盤がプレスバック。ガッツ999だせ。
大きなサイドチェンジは知りませんし、鹿児島はあまりやって来なかった印象です。その他、自陣深くまで攻め込まれた時は鹿児島のボールサイドはローテーションやL時の動きなど戦術的な崩しを行いますがギリ守れました。相手に正対することで攻撃を制限させていた下坂の守備は良い効果を与えていたと思います。
ここで綻びを見せる訳にはいかないゼルビアは適応し、懸命な対応で鹿児島の攻撃を跳ね返しました。また最後の砦として立ちはだかるGK増田に惚れたサポーターも多かったと思います(ワイや)。
おわりに
互いに自信を取り戻すためのゲームとなりましたが、ロメロや下坂を始め全てのゼルビア戦士が要所で光る活躍を見せ勝利する事ができました。結末はCKからのPKでしたが、ゲーム内容は論理的であり見応えがありました。
カウンター設計に乏しいなど内在する課題はあるけれども、一戦必勝、このゲームに賭けて勝利を掴み取ったゼルビア戦士たちに敬意を表したいです。
次の対戦相手の愛媛FCはボール保持型でありつつも相手のハイプレスを逆手に取り引きつけて前野貴徳のロングパス1本でチャンスを作れるチーム。ゼルビアがどの様な対策を講じるか、これまた非常に楽しみな一戦です。
(TanaLifeからのお知らせです)
ゼルビアアナライジングサポーター(ZAS)について|TanaLife|note
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