FC琉球 1-1 町田ゼルビア クロスが届かない試練 (2019 第11節)
今回の対戦相手はFC琉球。
JFL時代からお世話になっている先輩クラブ。かつてはフィリップ・トルシエが総監督に就任など独自の戦略でチーム作りをしてきて成果に現れず停滞していた。しかし金鍾成の就任や的確な選手補強でチーム力は昇り竜の如し。
金鍾成は鹿児島に移ってしまったがYSCCで再評価された樋口靖洋を新たな監督に迎える。朴一圭、そしてシーズン中に中川風希がマリノスに移籍した影響は大きそうであるが、俺たちの鈴木孝司を新たなエースに迎えJ2で新風を巻き起こしている。ここから正念場かもしれないけどホーム無敗記録更新中と地の利が絶対ありますやん!と思わざるを得ないのがとても面白い。
スタメン情報はこちら。
ゼルビア [4-4-2]
前節に負傷交代した裕希さんは6週間ほど離脱と発表があり、相馬監督はメンバーの組み合わせを見直すことに迫られます。選択したのは左SH戸高、右SH森村。キープさせてFWに裏狙いをさせたい意図を感じます。
大谷がコンディションが戻ってきたということでCB酒井の位置に配置し藤井と組ませます。SBは右が奥山、左が下坂でクロスを意識した戦略も仕込んできた模様。
琉球 [4-1-4-1]
琉球は樋口さんだし従来通りの [4-2-3-1] で来るのかなと思っていたけど対ゼルビア布陣を仕込んできたみたいです。上里をセカンドボール回収を主目的としたアンカーに配置。これは相馬監督は想定していたのか気になるところ。
固定メンバーの1人である田中恵太がいない。前節に前半で下がっているから負傷か何かか。それも踏まえてのアンカーシステムなのかもしれません。いずれにせよ前線の配置を厚めにして奇襲をかけゼルビアを倒す狙いはあり、思惑通りである立ち上がりの展開となってしまいました。
ZASレポート
ZASではサポーターが分析でチームをより強くする方法は無いかを模索し、映像分析ツールSPLYZA Teamsを導入してチームに振り返り映像を提供したいと考えています。
まず分析の基本となる4局面+セットプレーをタグ付けにより洗い出しています。副産物として統計データが得られるので、データとして有効かはさておきここで紹介しています。
例えば局面タグを15分毎に分ければどのような展開だったのかイメージしやすいと思います。
3分で失点し最初の10分が全てと印象付けられた内容でしたが統計上もそんな感じに。ただ琉球は後半立ち上がりのシステム変更や交代策で立て直したというのもグラフに表れていて、引き分けが妥当な結果と考察できるのではないでしょうか。琉球が攻勢の時間帯でゼルビアがフルボッコにされなくて良かったとも思います。
続いて選手プレイリスト用の選手タグのデータ数です。お休みの中ZASメンバーに付けていただきました。ありがとうございます🙇♂️
今回は600を超えるタグ付けをしてくれました!ゼルビアを見るとSBのタスクの多さが分かるのですが森村、戸高、チュングン、敬真+ドリアンの攻撃陣のタグも目立ちます。一方で藤井のタグも多く、相手のロングボール対応や孝司とのマッチアップなど健闘ぶりが伺えます。各選手に届けたい!
また今回は新たなグラフ作成に挑戦しました。マリオさんことデザイナー/アナリストの河野大地さんを参考に(真似)して、SPLYZA Teamsで付けたタグをもとにゼルビアらしいトランジショングラフを作成してみました。
マリオさんの内容と違うのは1対1の奪取から対象を「ポジトラ/ネガトラ」に拡大したところです。目的はゼルビアの攻守の切り替わり位置と回数を可視化して試合との相関関係を整理することです。
またロングボールも相手(⇔こちら)主導のボールのセカンドを回収(⇔ロスト)ならポジトラ(⇔ネガトラ)とみなしています。主導側が回収したものはカウントしていません。
琉球戦はミドルサードでのトランジションで優位性を確認できていると考えます。琉球の攻撃開始位置が低かったことも分かります。またアタッキングサードでもいくつかボール奪取が見られました。グラフの上の方のゼルビアカラーが増えたらチャンスも多いと言えるでしょうし、チームによっては相手がカウンターを狙っていたと言えます。
ネガトラとポジトラの総数の比率はほぼ同数ですが琉球は自陣ゴール前からの切り替えが多いことからもゼルビア優勢が分かる結果です。
ひとまずはゼルビアらしいデータが出たグラフとなったのではないでしょうか。出来れば今後も続けたいと思います。ちなみにマリオさんの素晴らしいグラフはこちらで確認したください。
凄みのある孝司起点のカウンター
ゼルビアはキックオフから2回目の琉球のカウンターに泣くことになります。被カウンターを受け止められないゼルビアは現在の順位を表すかなようなチグハグさを見せてしまいました。
・サイドで挟みに行った選手が面迎撃を考慮せず交わされた
— TanaLife (@TanaLife) 2019年4月27日
・CBが単騎でボールに行く(致命的1)
・孝司ポストプレーで可能性の判断誤りはともかくその後の後退を緩めた
・増谷のパス&ゴー時にマークを外した(致命的2)
・富所は右利き 可能性の判断誤り
守備の規準がほしい…https://t.co/CWsLxa4sWX
暑さのせいなのかちょっと分かりませんが、立ち上がりは気を付けようぜ!と意識していたのにやられてしまった事はかなり悔しいです。
自滅が失点の要因ですが、孝司の地上戦でのポストプレーはゼルビアサポなら知っていて当然だけどエグい。バイタルエリアで受けたりDF間に位置取りマークの判断を迷わせるし、捌くタイミングも的確。こちらはスライドしながらのリトリートを強いられるのでたまったもんじゃない。知ってたけど。
最初の10分位の琉球のカウンターは本当に危険で1失点で済んだのが不思議なくらいでした。ところが点を獲りに来た琉球が前のめりになると孝司起点となるカウンターは減少。そこからはゼルビアがロングボール、スローインを絡めたワンサイトアタック、アンカー封殺によるハイプレスなど持ち前のプレーで主導権が移っていくのがサッカーの妙と言ったところでしょうか。琉球が自陣で守る展開が増え、更に孝司のカウンター起点も分断することに成功します。
クロスを出す位置の規準はあるか
琉球がチャンスの時間にトドメを刺せない一方で、ゼルビアにも決定機が何度かあるものの得点は83分のセットプレーからの二次攻撃まで待たなければなりませんでした。
アビスパ戦から意識付けが見られるクロス供給時にニアとファーそしてリバウンドポジションを埋めてゴールを狙う動きは今回も見ることができました(ニア寄りがち問題も見られましたが)。
しかしクロスが収まらない。キーマンとなるクロッサーからのボールが非カウンター防止とリバウンド確保を兼ねていると思われる低いボール中心で相手に跳ね返されます。クロスを出す位置やタイミングをどうするかは高さと時系列が全て。当たり前ですが出し手も受け手も味方と相手の状況を把握する必要があります。
ゼルビアの場合、状況把握より単純に約束事、人がいる位置に出している傾向があると感じます。それがニア重視だったり、非カウンター防止のための低いボールかもしれません。それで点が獲れるのかは追っていきたいです。
個人的にはクロスを出す位置の規準は変わってほしい。そんな事を考えているとTwitter上で久し振りにビエルサラインを目にしました。
この子何がすごいって弾く時にちゃんとビエルサラインの外に弾いてるんだよね>RThttps://t.co/prKq9WvbGg
— お市@トリコロール箱推し (@iMaggoTs_09) 2019年4月29日
この数字に可能性を見出して受け手、出し手ともに考え動く規準を作っても良いと思う今日この頃です。簡単に言うとGKが飛び出せない深さのファーへのアーリークロスが増えるのを僕は待っています。
おわりに
お互いの交代策が活きる中で何度かチャンスはあるものの決めきれない状況が続きました。
孝司が対戦相手となる初めてのゲームは、両者に勝利のチャンスがあったものの引き分けに終わります。なかなか勝てないゼルビアの状況と攻撃パターンの変化(追加)が相関していて面白さと悶々とする感情が入り混じるゲームでした。
一方で町田戦を特別な試合と位置付け試合に臨み、引き分けに終わりピッチに悔しさをぶつける姿。そして試合後は沖縄に来たゼルビアサポーターに親身に挨拶する姿を見せる鈴木孝司は未だ心の中では俺たちのエースなのだ!と思いました。でも孝司…次は勝つぜ!
(TanaLifeからのお知らせです)
ゼルビアアナライジングサポーター(ZAS)について|TanaLife|note
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