町田ゼルビア 1-0 FC岐阜 積み重ねた徹底から生まれた応用力 (2018 第30節)
フォトギャラリー:明治安田生命J2リーグ第30節vsFC岐阜 | FC町田ゼルビア オフィシャルサイト
2018 J2第30節。町田ゼルビア×FC岐阜の試合は1-0でホームのゼルビアが勝利しました。前日に松本山雅が負けたため町田が首位に立ちました!まだ13試合ありますが、この時だけは僕も浮かれて祝杯をあげました(//∇//) (と書きながら実は水曜も飲んだのは内緒だ)。
今節もプレビュー記事はお休みさせてもらいました。前回対戦時の記事がありますので、岐阜戦の余韻に浸りたい方は合わせてお読みください。
縦横圧縮 vs 和式ポゼッション 再び
スタメン発表が公開されてから町田に悲報。山雅戦で負傷した裕大が右足関節捻挫で全治6週間の見込みと公表されました。
終盤戦に入ってのキャプテン不在。これはなかなか厳しい。他のメンバーに裕大の分も頑張ってもらい、裕大の回復を祈ります。
裕大の位置には山雅戦で代役の任を果たした土岐田が引き続きスタメン起用されました。他のスタメンは前節と同じです。リザーブには小島が入っています。裕大、下坂、戸高と怪我の選手が多い状況ですが、選手層はなかなか厚い。シーズン終盤戦もまだまだ十分に戦えるでしょう。
一方の岐阜さんは生命線だった古橋様が神戸に移籍。たなパウロも不在。代わりの3トップは薮内、山岸、そして初スタメンとなる石川と戦力ダウンは否定できません。中島賢星、三島、宮本ら4-3-3の核となる中盤の選手がどれだけチャンスを作れるかがポイントです。
暑い…(;´д`) 多摩境からの快適なシャトルバスを降りた瞬間からムワッとする暑さがまとわりつく。西日対策でジーンズ(ぴっちり)を履いたがこれは完全なる失策…。これは選手も相当しんどいはず。暑さがどう影響するかが切っても切り離せないゲームとなりました。
前半 その後の展開を助ける大きな先制点
〜25分 和式ポゼッションを封殺
岐阜はボール保持では4-3-3、非ボール保持では4-1-4-1を敷くチーム。ビルドアップは「和式ポゼッション」と言われているパス回しが特徴。SBが高い位置に上がりCBがワイドに開く。最終ラインに落ちてきたアンカーやGKも積極的にボール回しに加わる。と、ここまでは一般的ですが前進できないとSBもIHも寄ってくる傾向がありビルドアップする位置が非常に低くなります。チーム重心が余りにも後ろなので良くはないと思いますが、奪われても守備ブロックを素早く形成出来るので守れれば問題無いと考えているのかもしれません。
当然ゼルビアは試合開始から岐阜のポゼッション位置が低ければ超攻撃的プレッシング。FW陣が深い位置で第1プレッシングを仕掛けチームで連動して岐阜をサイドに追い込み攻撃を封じ込めます。そしてスローインやセットプレーでゴールを狙います。
対する岐阜はセットプレーの守備で強さを見せてカウンターからチャンスを作ります。しかし古橋移籍の影響は大きく、また酒井隆介が戻って来たこともありゼルビアが上手く守っていました。その結果、岐阜に攻め手が無くなってきます。
ゼルビアがゲームを優位に進め始めた16分。何度目かのハイプレス対ポゼッションでゼルビアが力を見せショートカウンターを発動し、森村のシュートはコースが変わるという運も味方し先制。
5レーン理論のセオリー①「1列前の選手が同じレーンに並ぶのは禁止」ピッチ上に小さな三角形を生み出す大原則を無視するとこうなる。ましてや高い強度を保つ時間帯に町田ゼルビアの横圧縮の中心に入り込めば格好の餌食よ。 pic.twitter.com/VzVbDWclcv
— 平戸に祈る🙏ゼルビアブログのTanaLife (@TanaLife) 2018年8月30日
岐阜のポゼッションは5レーン理論をあまり意識せず自分達の密集も許容するビルドアップを目指していると思いますが、時間帯を選ぶ必要がありました。
序盤のゼルビアのゾーンディフェンスは目を見張るものがあります。思えば天皇杯のアントラーズ戦で上手くサイドに追い込めなかった反省が活かされているのでしょうか。第1プレッシャーとなるFW陣の追い込み方は素晴らしいです。なのでゼルビアのハイプレスはここから注目して見ていただければと思います。
〜45分 試合の運び方の変化
しかし30分辺りからゼルビアは岐阜が後方でビルドアップをしても超攻撃的プレッシングは行わずに第1プレッシングラインの設定を低めにして対応します。
この日は本当に暑く、映像で振り返って見ても選手達はキツそうな顔をしています。暑さや勝ち越していること、時間帯。全ての状況が合わさりゼルビアはコンパクトネスを維持したまま強度に任せたプレッシングを中断します。
岐阜は高い位置でポゼッション可能となりDFラインの裏を狙うパスを出せる様になってきたので、ゼルビアはリトリートを選択しつつプレスバックや自陣ブロック守備で岐阜の攻撃を跳ね返す事が増えました。
ゼルビアにとって我慢の時間帯でしたが、以前ならば体力が持つまで仕掛けるチームだったのに比べれば試合の運び方が上手くなりました。特に相手のアンカー位置へのパスを遮断するポジショニングは出来るようになってきたかなと思います。上の画像だとスタッツで隠れてしまっているのですが岐阜の右WGがアイソレーションしています。しかしパスコースを限定しているため無効化しており左サイドへ展開します。さらに左サイドでも岐阜に数的優位は生み出させません。
積極的なプレッシングを仕掛けなくても相手をサイドに追いやりピンチを減らすことが出来てきたのは大きいです。ゼルビアはもう夏に弱いチームじゃ無くなったと思いたい!
後半 町田には驚きのシステム応用
〜70分 FC岐阜の逆襲
後半の立ち上がり。ゼルビアは前半開始時と同様の展開で超攻撃的プレッシングを仕掛けて勝負に出ます。しかし暑さが重くのしかかる…50分頃より守備の遅れが見え始めます。
対する岐阜はロングボールを増やしてゼルビアを押し下げます。少しずつ少しずつゼルビアのコンパクトネスと強度が失われてきます。
ここからは撃ち合いののちに岐阜のポゼッションスタイルが逆襲します。ゼルビアの第1プレッシャーラインでパスコースを限定できません。すると、後方を巧みに利用しサイドを変えながら押し上げる岐阜のパスワークにゼルビアのスライド対応は間に合わなくなり、サイドでの対応が怪しくなります。DF-MF間にも侵入されてきました。
岐阜は67分に薮内→新戦力ミシャエルの交代でサイドからの攻撃を強めます。一方ゼルビアも土居→吉濱の交代カードを切ります。走りきって疲れの見える土居に対するいつも通りの交代かと思っていましたが、相馬監督は孝司ワントップ、土岐田アンカーの4-1-4-1に並びを変えてきました。
相馬監督が終盤に4-4-2を変えることは、5バックやハイタワーのアンカー起用などたまにありましたが、相手との噛み合わせを意図したアンカー配置はチームも始めてだしぶっつけ本番に近いものと説明があるので少し整理しておきます。
終盤のシステム噛み合わせ論
ゼルビアの4-1-4-1変更の意図は試合後コメント等を読んだ方は分かると思いますが大きく以下となります。
①中盤のスライド対応の負担軽減
何度も言いますがこの日は厳しい暑さでした。岐阜のサイドチェンジに対応するゼルビアの負担はかなり大きいです。
そこで中盤にアンカーを配置つまり枚数を増やすことで、スライド対応で下がる際にアンカーの選手が空いてしまう中央スペースを埋めることで、取り分け逆サイド側のMFのスライド移動する距離や消耗を減らすことに繋がりました。
ゼルビアSHが高い位置を取る岐阜のSBにマークし易くなり、ボールサイドでの数的不利となる場面は減ります。最も重要な改善ポイントだと思います。
②岐阜MF陣のビルドアップ抑制
ボールサイドの対決で数的同数となるので岐阜SBが後方に戻すことで再びビルドアップを行います。そこで気を付けたいのは岐阜のMF陣です。アンカー落としと黄金の回転エネルギーによるポジション変更でフリーの状態を作り出しパス・ドリブルでスペース侵入を図ります。
ゼルビアの中盤が5枚になった事でアンカーを余らせながら横圧縮したり、4-4-2に移行しながらアンカーに対してプレスを仕掛けるなど、ぶっつけ本番とは思えない可変式の守備を見せて、中盤での数的優位を再生し攻勢に転じるきっかけとなりました。
特に宮本を封じ込めたのは大きいです。しかしこれは岐阜のポゼッションのスタイルに助けられてもいました。
岐阜はビルドアップの際にCBがドリブルで前進することはほぼありません。ですのでサイドチェンジされない限り組織力の高いゼルビアの中盤ラインが崩される事はありません。そこにアンカーが加わりスライド対応が容易になったのですから尚更です。
ポゼッションスタイルのチームがその状況を打開するには、相手が1トップのためプレッシャーが無くなったCBがドリブルで前進し罠を仕掛ける必要がありますが、高いスキルが求められるため仕込めているチームは多くありません。従って1トップに減らしても不利になる事は有りませんでした。
③MF-DF間のスペース侵入防止
4-1-4-1でもゼルビアが高い位置で守るというベースは変わりません。ここまで封じ込めれば岐阜はロングボールで3トップに託す展開が増えます。79分にはゼルビアには脅威的なFW難波も投入されます。
怖いのは不意に中央のスペースに入るパスやセカンドボールを回収され攻撃を展開されること。そのリスクを防ぐのがアンカーと呼ばれるMF-DF間に配置されるボランチです。この重要なタスクをしっかりとこなしてくれる土岐田のオールラウンダーっぷりは見事でした。
以上の相馬監督の狙いが見事に当てはまり、岐阜の終盤の攻撃を封じ込めることが出来ました。
FT J2上位に挑戦できる確かなチーム力
フォトギャラリー:明治安田生命J2リーグ第30節vsFC岐阜 | FC町田ゼルビア オフィシャルサイト
アディショナルタイムにカバーリングでゼルビアを助けてくれた酒井に代えて藤井を投入。孝司のPKはビクトルに阻止されるものの、土岐田をハンジェに代えてクローズのタスクを託し、最後の被FKもラインを保ちオフサイドを奪う見事な冷静さを見せてこのまま1-0で逃げ切ることができました。
序盤の洗練された超攻撃的プレッシング。中盤に見せた酷暑ゲームでのリスク回避。そして終盤での相手に合わせた采配と徹底することで進化したチーム力。ロースコアながらも非常に楽しめるゲームを見ることができました。暫定首位。ゼルビアを応援していてこんな時がくるとは開幕当初は思っても見ませんでした。さすがに祝勝開などで浮かれてブログ書くのが遅れちゃいましたよねσ(^_^;)
ゼルビアのこの強さはJ2上位に堂々と挑戦できるものだと思います。それにも関わらず目の前の勝負に集中する姿勢がとても誇らしく、僕はいつも共にしてきたタオルマフラーを高々と掲げて勝利を喜びました。J2終盤戦を夢を抱きながら戦えることを精一杯楽しみながら皆でゼルビアを後押ししましょう!
選手・スタッフの皆さん。ファン・サポーターの皆さん。今節もお疲れ様でした。お次のゲームはヴァンフォーレ甲府戦です。割と近いので行く方も多そうですね。目の前の1試合に全力を注ぐゼルビア戦士と共に、応援よろしくお願いします!今回はここまで。次の記事でお会いしましょう⭐️それでは‼️
(おまけ)
もりむーがゴールを大喜びできなかったのは、裕希さんのせいだと思うしめっちゃすこ🤣🤣🤣 pic.twitter.com/t1SBeN8aPh
— 平戸に祈る🙏ゼルビアブログのTanaLife (@TanaLife) 2018年8月27日
※試合画像ともりむー動画はDAZNより、ゴール解説動画はYouTubeのゼルビア公式ハイライトより引用しています
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